昨日行われた凱旋門賞の総括をしておきます。
①まずは、各騎手のコメントから。(参照:パリ・チュルフ紙 10月5日付)
1着:キネーン騎手(シーザスターズ)
「アイリッシュ・チャンピオンズステークスから今日までのあいだに、馬がフィジカル面で変わりました。単なる成長ではなく大きな変化でした。毛並みも同じではありませんでした。今日の勝利が、最も楽でした。ゴールを過ぎてからもまだ余力があり、さらに攻撃を仕掛けられても、それに答えることが出来たと思います。私が今まで乗った中で最高の馬です」
2着:ファロン騎手(ユームザイン)
「素晴らしい走りでした。私は、道中シーザスターズの後ろにつけました。キネーン騎手がインコーナーを選択したので、私は前が塞がれるのを避けて外を選びました。加速するまでに少し時間がかかりましたが、いつも通り、自分の力を精一杯出してくれました」
ミック・シャンソン調教師(ユームザイン)
「去年は素晴らしい牝馬(訳者注:ザルカヴァ)に敗れ、今年は素晴らしいチャンピオンに破れ、そしてディラン・トーマスにも敗れました。今年もまた自分のもつ力を見せてくれました。3度も2着をとるなんて、普通無理なことですよ!来年は四回目の2着を取りに来ます(笑)」
3着:デットーリ騎手(カヴァルリーマン)
「素晴らしい走りでした。大外枠であったにもかかわらず(訳者注:19番)、なかなかいいコースを走ることができました。何も言うことはありません。本当にいい馬です」
4着:ムーア騎手(コンデュイット)
「ペースが速くなかったことがよくありませんでした。ペースメーカーの仕事が役立ったと思いません。追走している馬群の先頭にいたスタセリタがあまり速くなかったからです。しまいはよかったのですが、もっとペースが速くなったときに見せるほどの加速はありませんでした」
5着:ジョン・ゴーズデン調教師(ダレミ)
「馬は最も美しいレースを走りました。このようなレースで戦い、そしてこの着順を取れたことは、大変名誉なことだと思います。チャンピオンであるシーザスターズはさておいても、2着のユームザインは大変能力があり常に連に絡んでいるし4着のコンデュイットはキングジョージの覇者です。ダレミは最も強い牝馬であることを証明してくれました。私達はこの馬と共に喜んでいます。過去に関しては、もう過ぎ去ったことです(訳者注:前哨戦の牝馬限定G1、ヴェルメイユ賞で降着になったことを受けている)」
6着:ムルタ騎手(フェイム・アンド・グローリー)
「道中、ずっと窮屈な位置で走らされました。したがって、ペースメーカーの仕事の恩恵を被ることが出来ませんでした。馬を責めることは何もありません」
7着:ジャルネ騎手(ラブーム)
「馬は本当によく走ってくれました。素晴らしい牝馬です。体以上に強い心を持っています。馬場がやわらかくなったら、さらにいい走りが出来たと思います」
7着同着:スミヨン騎手(スタセリタ)
「馬はしっかり走っています。体がまだ出来ていないことが答えたのだと思います。追い出したときにしっかり伸びきってくれませんでした」
9着:クラスチュス騎手(マガダン)
「ザ・ボグベリーの後ろで、いい位置取りが出来ました。下り坂のところで少しいい感じでしたが、そのあと前にいた馬にふさがれて、身動きが取れなくなりました。だから、早く馬をずらさなければなりませんでした。しっかり伸びてくれましたが、馬場が馬には合わないし、恐らくもう少し短い距離のほうがいいと思います」
10着:ペリエ騎手(ヴィジョンデタ)
「今回の凱旋門賞は素晴らしいチャンピオンにもたらされたと思います。私の馬に関して言うと、レース前から極度に緊張していました。パドックでも、レース前の行進のときも、枠に入る前もそうでした。流れを失ってしまったので、期待通りには伸びてくれませんでした」
11着:メンディザバル騎手(タンガスピード)
「レースの不規則な動きに左右されず、内から2、3列目のポジションで追走することが出来ました。最後の200メートルは(素晴らしい動きで)、びっくりしました。重馬場であれば、さらによかったと思います」
12着:モッセ騎手(ベエスタム)
「馬はよく走りました。いい馬ですが、上位の馬に比べるとやはり力は劣っていると思います。道中は好位を守りながら外を回り、直線はしっかり加速してくれました」
13着:パスキエ騎手(ゲッタウェイ)
「レースのはじめでいい位置をとれるスピードがなかったです。その後は馬場がこの馬には合わないので、難しすぎました」
14着:カプシェフ騎手(ザ・ボグベリー)
「今日の成績は、実際の馬のレベルを反映していません。全くのびのびと走っていなかったからです。馬場が向かないのか、ほかの理由かはわかりません。でもこれよりはいいはずです」
16着:ヤナセック騎手(チュラモアー)
「いい馬ですが、フランスでは一度も価値を見せつけることが出来ていません。それが輸送の問題なのかどうかはわかりませんが、たとえチェコでこの馬が一番いい馬ではないにしても、本来の顔を見せてくれませんでした。確かに道中幸運な方だとは言えませんでしたが」
②キネーン騎手、10年ごとに凱旋門賞を制覇!
シーザスターズに騎乗し、見事勝利したミック・キネーン騎手は、89年にキャロルハウスで、99年にモンジューで凱旋門賞を制していますが、今回2009年に勝ったことで、10年ごとに凱旋門賞を3回勝つという快挙を成し遂げました。自国アイルランドで過去13回リーディングジョッキーに輝いた名手は、メルボルンカップやジャパンカップなど世界の主要なG1を制したことでも知られます。
③アーバンシー・シーザスターズ、母仔で凱旋門賞制覇!
シーザスターズは16年前に凱旋門賞を制し、今年の3月死んでしまったアーバンシーの仔です。これにより、母仔で凱旋門賞に勝つという快挙を成し遂げました。シーザスターズはこれで今年に入ってG1を6戦全勝。しかも1600メートルから2400メートルの幅で勝ち続けました。文句なしのスターホースです。
10月4日その他のG1の結果
◎第2レース:アベイ・ド・ロンシャン賞(G1)1000メートル直線
QATAR PRIX DE L'ABBAYE DE LONGCHAMP - Plat - GROUPE I - 1000 mètres
残念ながらオリビエ騎乗のウォーアーティストちゃんは3着でしたが、しっかり最後までよく伸びていました。
1着:トータルギャラリー TOTAL GALLERY(ムルタ)
2着:フリーティングスピリット FLEETING SPIRIT(カリー)クビ
3着:ウォーアーティスト WAR ARTIST(ペリエ)半馬身
◎第3レース:マルセル・ブサック賞(G1)1600メートル 2歳
PRIX MARCEL BOUSSAC - CRITERIUM DES POULICHES - Plat - GROUPE I - 1600 mètres
前日に復活したばかりのスミヨンが見事勝利!素晴らしい騎乗でした。3ヶ月の怪我から3週間で帰ってくるという超人的な回復力も、衰えない勝利への執念も素晴らしいです。やはりスミヨンは超一流の騎手です。日本の皆さんも今年の10月から12月まで彼を見られるので、ぜひ注目してください。勝ったロザナラちゃんはわずか420キロの小さい子ですが、精神力が素晴らしいようです。来年が楽しみな1頭です。
1着:ロザナラ ROSANARA(スミヨン)
2着:オンヴェラ ON VERRA(チュリエーズ)2馬身
3着:ジョアナ JOANNA(バルジュ)ハナ
◎第4レース:ジャンリュック・ラギャルデール賞(G1)1400メートル
PRIX JEAN-LUC LAGARDERE (GRAND CRITERIUM) - Plat - GROUPE I - 1400 mètres
ルメール騎手から乗り代わったモッセ騎手が勝ち。またまたアガカーン所有馬の勝利でした。1600メートルになっても問題なさそうなので、来年は仏2000ギニーコースに進むでしょう。
1着:シユニ SIYOUNNI(モッセ)
2着:パンチド POUNCED(フォーチュン)1馬身半
3着:バズワード BUZZWORD(アジテビ)半馬身
◎第5レース:オペラ賞(G1)2000メートル
QATAR PETROLEUM PRIX DE L'OPERA - Plat - GROUPE I - 2000 mètres
オープン特別を勝ったばかりの穴馬、シャラナヤが勝利。なんとアガカーン所有馬3戦連続のG1獲りという快挙です。鞍上の20歳ギヨン君はパリ大賞に続いて2つ目のG1勝利となりました。
1着:シャラナヤ SHALANAYA(ギヨン)
2着:ボードミーティング BOARD MEETING(クラスチュス)1馬身半
3着:ミッデイ MIDDAY(カリー)短頭
◎第7レース:アラビアン・ワールドカップ(G1)アラブ種
QATAR ARABIAN WORLD CUP - Plat – GROUPE I PA - 2000 mètres
凱旋門賞まで立ちっぱなしで見ていたので、休憩していてこのレースはしっかり見ていません。すいません。
1着:ジェネラル GENERAL(ブロー)
2着:アルダハマ AL DAHMA(メンディザバル)4馬身
3着:ナスワンアルカリディア NASHWAN AL KHALIDIA(ラモス)8馬身
◎第8レース:カドラン賞(G1)4000メートル
TAR PRIX DU CADRAN - Plat - GROUPE I - 4000 mètres
またまたまたまたアガカーンさんのアランディちゃんが勝ちました。これでこの日なんとG1を4勝。前日のフォレ賞とあわせて5勝です。こんな記録はそう簡単に塗り替えられないと思います。凄すぎです。イェイツ師匠は無事に怪我もなく引退にいたりました。こんな素晴らしい馬には、滅多にお目にかかれるものではありません。本当にお疲れ様でした。
1着:アランディ ALANDI(キネーン)
2着:カスバブリス KASBAH BLISS(チュリェーズ)短頭
3着:イェーツ YEATS(ムルタ)1馬身半
最後に:これで2009年のメインイベントも終了しました。あと10月にロンシャンでG1が1つと、2歳のG1が2つサンクルーでありますが、それほど盛り上がりません。毎年この時期になると寂しくなるものです。毎年これから僕はお勉強の季節に突入します(笑)。日本はこれからですね。今年は残念ながらオリビエ・ペリエ騎手が日本に行きませんが(もしかしたらジャパンカップには来るかもしれません)、ルメさん、スミヨン、クラスチュスと3人のフランス人ジョッキーが行きます。応援お願いします!
これで、凱旋門賞関係の記事はおしまいです。個人的にはオリビエがG1を勝ってくれなかったので寂しかったですが、総じて盛り上がった凱旋門賞でした。最後まで読んでくれた皆さん、本当にありがとうございました。明日はガロリーニ厩舎に調教を見に行ってきます!最後にF氏とNanetteちゃんの記念撮影で締めくくりです!ははん!
現在66位です!応援よろしくお願いします!
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